1 「直ちに」、「速やかに」、「遅滞なく」について
ある行為や手続等についての時期を示すものとして、「直ちに」、「速やかに」、「遅滞なく」という用語が使用されることがあります。これらは、いずれも「すぐに」との趣旨で使われている言葉ですが、ニュアンスの違いをいえば、この中で時間的な即時性が最も強いものは、「直ちに」であり、一般に「即時に」、「間をおかずに」という趣旨を表すときに用いられます。遅れは義務違反を引き起こすのが通例です。これに対して、「速やかに」は、「直ちに」よりも即時性のニュアンスが若干弱く、一般的には「できるだけはやく」という意味を表す場合に使われますが、訓示的な規定に多く使われる特徴があります。「遅滞なく」は、できるだけはやくという意味は残るものの、3つの中では即時性のニュアンスは最も弱くなると解されています。
この点、いずれについても、個別の事情次第では、基準となるタスクから一定期間経過したあとに実行しても問題ないと評価されるケースもありますが、一方で、基準となるタスクと同日のうちに行う必要があるとされるケースもありますので、本システムでは、便宜上、全て、基準となるタスクと同日に行うべきタスクとして表示されるようにしています。
2 「遅滞なく」「先立って」について
個別の条文等の解釈次第では、基準となるタスクの前日以前までに行う必要があると解されるものがある可能性はありますが、便宜上、本システムでは、同日までに行うべきタスクとして表示されるようにしています。
3 「〇日前までに」 「〇週前までに」 「〇か月前までに」について
会社法上、株主、債権者等の権利行使に関係して、「〇日前までに」 「〇週前までに」 「〇か月前までに」といった逆算による期間設定がされている場合には、基本的に、「丸○日」 「丸○週間」 「丸○か月」を置くことが必要とされています。この点、「…前までに」という逆算による期間設定がされている条文の全てにおいて上記解釈となるのかは定かではありませんが、本システムでは、法文上、「〇日前までに」 「〇週前までに」 「〇か月前までに」といった逆算による期間設定がされている場合には、「丸○日」 「丸○週間」 「丸○か月」を置くことが必要という解釈を前提にしています。ただし、「前日まで」については、「丸1日」ではなく、文字どおりの「前日まで」としています。
4 「〇〇前の日」について
条文上、「〇〇前の日」となっているものについては、その〇〇を差し引いた応当日が、そのタスクの実行日となるということにしています。
5 通知、催告、公告について
会社法において、通知、催告や公告について、期間又は期限が定められている場合、条文上、発信時点が基準であることが明確であるものを除き(会社法299条1項等)、原則として、当該期間内又は当該期限までに、通知、催告が相手方に到達し、又は公告が現実に掲載されなければなりません(到達主義)。したがって、通知、催告については、そのタスクの実行日までに到達するように発送する必要があり、公告については、そのタスクの実行日までに掲載されるように余裕をみて掲載手続を行う必要があります。
6 適時開示の時期に関する記載について
東京証券取引所有価証券上場規程402条1号では、「上場会社の業務執行を決定する機関が、次のaからarまでに掲げる事項のいずれかを行うことについての決定をした場合(当該決定に係る事項を行わないことを決定した場合を含む。)」について、直ちにその内容を開示しなければならない旨定めています。
この場合の、「業務執行を決定する機関が、・・・決定をした場合」に該当するのが、各個別事案において、具体的にどの時点であるかは、当該個別事案の具体的な事実関係によりますので一律にいうことは困難です。
そこで、本システムにおいては、あくまでそのイベントにおいては、記載の時期の取締役会等の決定をもって有価証券上場規程に定める「業務を決定する機関が・・・決定した場合」に該当するとの前提で、スケジュールを計算し、解説しています。
したがって、実際の個別事案においては、その具体的な事実関係により、開示を行うべき時期が、本システムで示したスケジュールとは異なる場合があることに留意いただく必要があります。
7 「法定期限/期間」の末日が土日祝日の場合について
タスクによっては土日祝日には行うことができない可能性があるため、自動計算される「法定期限/期間」が、計算根拠となる文言と異なる場合がございますのでご注意ください。なお、本システムでは、土曜日も、日曜日や祝日も同様に扱い、また、当該土日祝日については、一律に「取引をしない慣習がある場合」(民法142条)に該当することを前提にしています。
例:タスクAの20日後は「10/27」であるが、土日祝日のため「法定期限/期間」に「10/28」と表示される場合がある
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